NHK朝ドラ『ちゅらさん』は定期的に再放送していますね。ずっと人気の作品。シリーズ化までして『ちゅらさん4』くらいまでありましたよね?
リアルタイムの放送時、私は20代で、朝ドラを見る習慣はなかったのにゴーヤーマンのことは知っていて、沖縄に旅行に行った時になぜか買ってしまいました。笑
20年近く経った2024年にまた再放送していたので、初めて初回から見ています。(総集編は一度見たことあります)
でもなんだろう?おもしろいのにつまらない。
そしてつまらないのにおもしろい。
イラっとするのに、つまらないのに惹きつけられる。
なんか不思議な魅力のあるドラマだなと思いました。そう感じた理由は?
ちゅらさんのストーリーは冗長でつまらない
正直ストーリーはつまらないと思います。
最初は沖縄の魅力たっぷりで面白かった。
脚本家さんの書きたいポイントがあって、そこが終わったら時間余っちゃった感が見えてましたよね。
たぶん、
子供の頃に結婚の約束を交わした二人の恋が実るという話、
めぞん一刻のような個性的な人々とのわちゃわちゃした共同生活、
和也くんは沖縄のキジムナーとなったという伝説チックなストーリー。
を書きたかったんだと思います。
それ以外はなんとか尺を持たせようとがんばってる感じで、だらだらとした展開。
脚本家さんの本当に描きたかったシーンは本当におもしろくて惹きつけられる。でもそれ以外の場繋ぎの補い方が甘くてつまらないと感じさせてしまう。
放送時間が余るので、最後の2分は主題歌を流す、という回がすごく多い。
放送時間が余るので、やたら同じセリフを2回繰り返す。「そう思ったさ。そう思ったんだよね。」みたいなのが何度も出てくる。
放送時間が余るので、登場人物の生い立ち独白ショーを頻発。
この辺りのシーンが出てくるとつまんないなぁと、ちょっとうんざりします。
このだらだらとした長さが、ちゅらさんをつまらないと思う理由。(私の場合)
しかしこれは逆にちゅらさんの魅力でもあります。
丁寧に描かれた登場人物が魅力的
ちゅらさんの面白さはなんと言っても登場人物が魅力的だからではないでしょうか!
ちゅらさんは全員のキャラクターがしっかりと描かれています。
ほぼ全員の名前がわかるし、みんなの性格も把握できている。
恵達は冷静だけどなんか残念さを残す、恵尚はお調子者、まりあさんはぶっきらぼうだけど優しいなど。
それは冗長したシーンがあったからこそだと思います。
一風館での、無くても困らないパジャマパーティーのゆんたく(会話)シーン、
古波蔵家での、無くても困らない食卓シーン、
ゆがふでの、無くても困らないカチャーシーで騒ぐシーン
こういう無駄に思えるシーンがあるからこそ、登場人物に親しみを覚え、確かにそこで生きてるように思えてきて、そのキャラクターを近所の知り合いみたいに思ってしまう。どんどん魅力的に見えてくる。
無くても困らないのに、無いと物足りない。要らなそうで実は必要。つまらないのになんか面白い。ちゅらさんの緩いパートにはそういう不思議な魅力がある。
たぶんそれは私たちの日常シーンと同じだから。
普段私たちがやってる会話と同じようなことをしてるのがつまらない。ドラマなのに自分と同じような日常だからつまらない。
でもドラマなのに、自分と同じような生活と会話をしているから共感できる。
面白い、引き込まれる。つまらないのになんで?正直見なくてもいいのに見てしまう。いや、見てないけどテレビつけて耳だけは傾けてしまう。
そんなドラマだと思います。
一風館みたいなアパートに住みたいって思っちゃいますもんね。古波蔵家の人たちと仲良くなりたいって思っちゃいます。
今の日本にない、人の距離の近さ。これが嫌な人はこのドラマは好きになれないけど、この他人との距離の近さやおせっかいに憧れる人はちゅらさん大好きになりますよね。
私もこういうの好きなので、つまらないと思いながらちゅらさん大好きです。
時代とぴったり合ったからウケた
私は序盤(子供時代)の、えりぃと和也くんと文也くんの、何やら『タッチ』を思い起こさせるような3人と、和也くんが死んでしまうこれまたタッチのような展開になった時、演出がクサイなぁと少し引きました。
でもたぶん、当時の朝ドラの視聴者層はタッチに青春を感じていた世代だと思うので、そのタッチを彷彿とさせるキャラクターや展開が胸熱だったのかなぁと推測。
えりぃが子供の頃の約束を信じ続けて上京、そして文也くんと再会して結婚するのも少女漫画のような要素で、なんか涙が溢れてしまうし、ほほえましく視聴できるドラマですよね。
一風館の住人との生活も『めぞん一刻』みたい。ぼやっとしか知らないけど、これもタッチと同時期くらいの漫画ですよね?
つまりこの世代の人にドンピシャ。50〜60代?
この世代の人が好きな物を全部詰め込んだマーケティングの勝利。
2024年に10〜40代を生きる人にはちょっとクサくて寒い展開が多いので、つまらないと思う人も多いのではないかなぁと思います。
ちゅらさんの成功は国仲涼子と平良とみ
時代もそうですが、ちゅらさんがここまで根強く愛されるドラマになったのは、何よりえりぃの存在だと思います。
えりぃの底抜けに明るくて、笑顔がかわいいキャラクターは国仲涼子さんだから成り立ったのだと思います。
他の人ではこんなにヒットしなかったんじゃないかな。
ほぼ同じ展開をなぞった『ちむどんどん』は、脇役のキャラクター設定も破綻してたけど、とにかく主役に魅力を感じなくてダメでした。子供時代は楽しかったのに、大人にバトンタッチしてから急激に失速した印象。
でもちゅらさんは大人になってからも、性格も笑顔もかわいくてみんなが好きになってしまう主人公でした。
その魅力を存分に引き出したのは言うまでもなく国仲涼子さん。
あまりのハマり役に、その後の俳優活動は苦労したかもしれないけど、この方はちゅらさんを演じる為に俳優として誕生されたと思います。それくらい必要不可欠で、本当に素敵だった。
そしておばあを演じた平良とみさんの存在も絶対。
沖縄のおばあってこうなんだなと納得しかしなかった人。
柔らかい口調で強いセリフをさらっと言う。その中には必ず優しさがある。なんて魅力的な人でしょう。
田中好子さんのお母さんも素敵だったなぁ。愛に溢れた人でしたよね。ちゅらさんには愛があった。だから人気が出たんでしょうね。褒め出したらキリがない。
ちゅらさんをつまらないと思ってブログのトピックにしたのに、いつのまにか大絶賛記事になってます。
やっぱりちゅらさんには多くの人を惹きつける魅力があったのだと思います。
まとめ
ちゅらさんは登場人物が魅力的で愛に溢れていたから、話がつまらなくてもヒットした。
私はそう思いました。
みんな愛が欲しいのだと思います。
人との心の距離感が近いことがうざいと思うようになった現代には、ちょっと合わなくなってしまった作品かもしれません。だからつまらない以上に思えない人もいると思います。
沖縄に行くとまだまだ他人との距離が近くて、観光地じゃないスーパーや飲食店に行くと、地元の人に話しかけられることも多い。そしてみんなとても優しい。
私はそういう沖縄が好きなので、ちゅらさんも好きなんだと思います。つまらないけど好き。不思議な感覚だけど。
ストーリーではなく、えりぃと周りの人たちに会いに行く感覚で、今日もドラマを楽しんでいます。こんな人たちに囲まれて暮らしてみたいなぁ。最終回まで楽しみます。
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