2019年7月にNHKで放送された「永遠のニシパ」。北海道150年記念ドラマとして制作されました。蝦夷地を北海道と名付けた男、松浦武四郎の物語。
放送から1ヶ月経ちましたが、やっと観ることができたので感想を。
でも辛口です(良い点も書いてます)。松本潤批判とかそういうのではないです。純粋にドラマを観た感想です。なのでちょっと松潤についても触れますが、ファンの方がお読みでしたらご容赦ください。
期待外れ
単刀直入に言うと期待外れでした。
このドラマ、2018年の紅白歌合戦の放送中に2019年春に放送されると宣伝していて知りました。
北海道バカの私はもう楽しみで楽しみで仕方なく、春まで長いなぁ…
と思ってたら春にやらない!
なかなか放送されないからどうなってるんだろう?と思ってNHKのサイト見に行ったらしれっと7月に延びてるし!
めっちゃ待ったのに、超楽しみにしてたのに、一夜だけのドラマだなんて。(ノД`)・゜・。
1時間半。そんなんで武四郎が人生捧げた(であろう)北海道測量の旅なんて描ききれるのかなぁ?とやや不安。
そして不安は的中。
なんて中途半端なドラマなんだ!!!もったいない!
中途半端な話だった
冒頭の「松浦武四郎を題材にしたフィクションです」と書いてあった時点で「え、フィクション!?なんか思ってたのと違う感じ?」と嫌な予感。
北海道と命名されて150年の節目にNHKが総力上げて作るのだからドキュメンタリードラマだと期待してたのですよ。勝手に期待した私が悪かったのかも知れないけど、まぁ期待するよね。
どうやって測量されたのか、とか、測量する上での過酷なエピソードとか、アイヌの人との出会いとか、交流とか、どうやって武四郎がアイヌの人たちに受け入れられていったのかとか、武四郎がアイヌに興味を持った経緯とか、
これ全部さらっと流して終わったよ!!!短すぎるよ!
もっと測量の仕方知りたかったのに!「3歩で一間(1.818メートル)で測りました。」だけじゃわかんないんだよ!どうやって地形を把握していったのかとかもっと描写がほしかったのよ!
アイヌのコタン(集落)に行ってからも、もうちょっと丁寧に描写してほしかったのよ。アイヌの食事もろくに映されず。女性たちが踊ってた踊りと歌も、どういう歌なのか、どういう踊りなのか知りたかったけどまったく触れられず。みんな無表情で踊ってたのがなぜなのか。遊びの踊りではないってこと?
そういやあのドラマでは誰も笑顔を見せてなかったけど、アイヌの人たちは笑顔を見せてはいけないの?
ひとつだけ『アイヌの人は簡単に名前を教えない』と言ってたけど、それも「名前を言うと悪魔に襲われるから。だから子供の頃は悪魔が嫌がるような汚い名前を付ける」とかそういう、名前を教えない理由を言ってくれないのが消化不良を起こす。何もわからない内容だった。
リセの存在も中途半端
リセという名前はアイヌっぽくて好き。里世(コタンモシリ)という漢字と意味もうまく当てたなぁと思った。それありきの名前でもとてもよかった。
でもいつの間にリセと武四郎は惹かれあってたの?急にシサムという言葉を使い始めて「シサムって何?」って考え込んでるうちにまた話は進むし。なんとなくシサムはお侍さん的な意味かなぁとは思ったけど。(シサムは”隣の人=和人”という意味だそうです )
シサムって自分に近い人、物という意味を持つらしいから、親しみや敬意があるように思うのだけど、リセは嫌い嫌いと言ってるし、なんだかなぁ…。(魚のシシャモはシサムが訛ったものらしいですよ。身近な食材だったんでしょうね)
時系列がよくわからない
ウテルクが怪我して、武四郎が滞在してたのは何日間だったのか?イチニカが『いつまでここに居るの?』と聞いて『怪我が治るまでだよ』と言ったのに、その次の『ここに住んで』と懇願するイチニカに対するリセのセリフでは『明日発つのよ』って言ってるし。「え、早っ!」とつっこんでしまった。
あっという間に測量が完了して江戸に戻って、幕府公認の調査員としてまた蝦夷地に戻ったのもなんだかあっという間な感じ。リセとの再会も『久しいな』とか言ってたけど全然久しさがなくて視聴者が置いてけぼりくらってる気分。
とにかく不十分
新堂屋はいつの間に敵になったのか。寝返ったのか。謎。
武四郎を再び北海道へと送らなかった理由は?
松前藩が武四郎を殺さずに抹殺する方法は、結局北海道に来させないことだったのだと一応はわかったけど、大久保利通まで武四郎を邪険にする理由はなんだったのかな?(まぁわかるんだけど、もっと描写がほしかった)
無理に恋愛要素入れないでほしかった
武四郎とリセの恋愛。なんだかよくわからない恋愛。これは”カイ”というアイヌ語につながる『私はここに住む人』という言葉を引き出す為の設定なんだろう。
恋仲にするのが手っ取り早い。わかる。でもなんか尺がなさすぎて薄っぺらかった。リセ殺さないでほしかったなぁ。アイヌの人が死ぬのは悲しいよ。
良かった点
もちろん良かった点もあります。
松浦武四郎を松本潤が演じたこと。
私は松潤ファンではないので、正直キャストを知った時は「松潤かぁ…」とがっかりしました。アイドル俳優使わないでほしかったなぁと思いました。本当にこのドラマ楽しみにしてたので。本気で北海道の測量とアイヌの文化の描写を期待してたので、渋いキャストで演じてもらいたかった。
でもTwitterでタグ検索していたら、嵐ファンの人たちがドラマを観て松浦武四郎や北海道やアイヌの歴史に興味を持ったとツイートしてる人を何人も見ました。
北海道とアイヌのことを多くの人に興味を持ってもらうには正解の配役だったように思います。
日本人は大和民族以外の民族を知らなすぎる。単一国家とか言う政治家もいた。もっと少数民族のことも知らないといけない。良いきっかけだったと思います。
個人的には松潤の甘い声と濃い顔は時代劇向きとは思わなかったけど、江戸時代にもそんな人はいたと思うのでまぁいいや。ひょろりとした武四郎のイメージではなかったけど。
武四郎が北海道という地名を名付けてくれただけでなく、札幌や小樽などの漢字も当ててくれたのだとわかったのもよかった。道内の地名の漢字がどれもなんだか魅力的で好き。かなり感動しました。ありがとう武四郎!
さんざん文句言ってますが、このドラマのコンセプトは好きです。北海道とアイヌの人を描いてくれたこと大いに感謝しております。アイヌの血を引く宇梶剛士さんも出演されてるのが嬉しい。
まとめ
時間が足りない!
これに尽きる。1時間半という短さを考えると、このドラマはよくできてると思う。一応全部の要素は入ってるから
でもやっぱりひとつひとつをもっと掘り下げて欲しかったなぁ。なんで一夜だけのドラマにしちゃったんだろう。
アイヌ語をちゃんと話してるのもすごくよかったし、チセ(家)の描写もよかった。もっと色々見たかった。土曜の時代ドラマで5回くらいやってほしかったよ。
キャストが悪いのでも、脚本が悪いのでも、美術さんが悪いのでもない。単純に時間が足りなかったのだと思う。
改めて松浦武四郎のドラマを観たいなぁ。次回に期待します。NHKさん!